ノルアドレナリンのはたらきが異常になると、常にアラートシステムが亢進したような状態になり、ストレス関連障害である外傷後ストレス障害(PTSD)を患うことになります。
セロトニン作動性ニューロンの活動が低下した場合、うつ病と呼ばれる気分障害や不安障害が生じることが知られています。 一般的な抗不安・抗うつ薬は、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」と呼ばれるもので、脳のセロトニン量を制御する役割を持つものです。ところが、抗うつ薬が効かないタイプの難治性うつも報告されており、さらなる気分障害メカニズムの解明と治療法の開発が問題となっています。
黒質緻密部から線条体に投射するドーパミン作動性ニューロンは、運動機能、とくに随意運動開始に関わっていることが報告されていて、パーキンソン病との関連が知られています。行動そのものというよりは、姿勢の維持や、適切な行動を選択するなどの細やかな運動の制御に役割を果たしていると考えられます。
また、黒質からのドーパミンの放出が減少すると、運動機能が低下し、パーキンソン病と呼ばれる状態になります。パーキンソン病は、50歳以上の1%が罹患すると言われている疾患です。初期症状は、運動がゆっくりになり、随意運動の開始ができなくなります。さらに病状が進行すると、筋緊張が亢進し、振戦と呼ばれるふるえが止まらなくなる状態が続きます。
これに対して、ドーパミンの前駆体であるL-ドーパを服用することで改善したり、うまく機能できなくなっている部位を電気で刺激したりすることで改善するという報告があります。
ドーパミンと統合失調症との関与も調べられてきましたが、まだ仮説の段階(ドーパミン仮説)で、さらなる研究が期待されます。
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