【基礎第五回】
代表的な病前性格に執着気質、メランコリー親和型性格、循環気質などがあります。
執着気質は下田が提案したもので、仕事熱心、凝り性、徹底的、責任感強い、完璧主義など。
メランコリー親和型性格はテレンバッハが提唱したもので、真面目、几帳面、膣時やルールを守る、頼まれるといやいいえない、自分への要求水準が高い。
循環気質は、循環病との関係でいわれたもので、社交的、競争心が強い、人付き合いがよい、ユーモアに富む、エネルギッシュで活動的。
そのほかには弱力気質とかいろいろな類型があげられています。
細胞数を縦軸に、M→A→Dの種類を横軸にすれば、
各個人ごとに、どのタイプの細胞が多いのか、示すことができます。
表記をMADのようにし、縦軸の細胞数は連続量ですが、便宜的に3段階くらいに分けて、MならばM少、M中、M多などと示します。
横軸はM→A→Dと連続に移行する、細胞の反応特性です。
1.M多A多D多(MもAもDも多い人)=執着気質・・・躁うつ病につながる
2.M多A少D多(MとDがおおい、Aは少ない人)=循環気質・・・躁うつ病につながる
3.mAD(Mが少なくて、AとDが多い人)=メランコリー親和型性格・・・うつ病につながる
4.M少A多D中(M少D中から多A多)=強迫性性格。切り替えが苦手で、対応がワンパターンになりやすい。困難に対して新しい発想ではなく、反復する努力で乗り越えよ絵とする。
5.M少A少D多(MとAが少なくて、Dが多い人)=弱力性性格
6.M中A中D多(MとAが中等量で、Dが多い人)=双極Ⅱ型の病前性格(MA成分は中程度で、熱中しても几帳面にしても中程度。弱力傾向は強い。)
以下同様にいろいろなタイプができます。名前がついているものも、ついていないものもあります。
それぞれに5段階をつくるとすると5*5*5で125通り、
現実には無限段階で、
しかもすべてについて連続的ですから無限のバリエーションができます。
うつ病には昔から有名な執着気質は
熱中性と持続性が強い性格です。
これは「M多A多D多+対他配慮(多)」と表現できるものです。Dは弱力成分でどんな人でも脳神経細胞の大半がDタイプです。
まず執着気質はこんな感じの人です。
ここで、対他配慮の成分については、
MADなどよりももっと高次元の社交的・対人的機能性分ですから、神経細胞特性のグラフには加えません。
対他配慮とか状況意味認知とかは
いろいろな低級機能が組み合わされた結果の複雑機能です。
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試みにこの「MAD+対他配慮(大)」のタイプの人の発病のプロセスを説明しましょう。
最初はこうです。
仕事やプライベートで頑張りすぎたとします。うれしすぎて興奮が続いた時も同じです。
すると、M細胞は最初どんどん頑張りますが、耐え切れなくなり、休止するわけです。
Mがお休みに入ると、下のパターンになります。
M多A多D多 → M少A多D多 に変化します。
この場面では、几帳面さ(A)と抑うつ(D)が前景に現れていることになります。
状況を何とかしようと几帳面さで乗り切ろうとします。
この時点で一時的にメランコリー親和型の特徴を呈しています。
そのまま頑張って現実に適応しようとすると、Aもダウンすることになります。
M少A多D多 → M少A少D多
となり抑うつ(D)だけになってしまいます。
この時点でうつ病です。
回復には、MとAが機能回復することが必要で、多分3ヶ月くらいかかるでしょう。
これが執着気質型うつ病の説明になります。
簡単で明快ですね。
つまりこれが、私の言う、躁状態先行仮説のメカニズムです。
躁状態先行があって、M成分が一時的に減少すると
M少A少D多 のうつに、またはM少A多D多の中間項を経過して、最終的にはM少A少D多のうつになる。(つづく)