下書き うつ病・勉強会#34 ストレス脆弱性レジリエンスモデル

ここではストレス・脆弱性・レジリエンス・モデルを説明する。

まず教育領域のレジリエンスについて勉強してみる。

「レジリエンス」とは、「回復力」や「弾性」「しなやかさ」「ストレス跳ね返し力」などを意味する言葉です。英語では、「resilience」と表記します。もともとは「物体の弾性」を表す物理学の用語でしたが、最近ではさまざまな分野・場面において使われています。

対義語は「脆弱(ぜいじゃく)性(vulnerability)」です。「レジリエンス」が「脆弱性」を上回っていると、困難な状況でも回復できるとされています。

レジリエンスには、逆境におけるレジリエンスと日常におけるレジリエンスの2つの側面があり、逆境では災害や病気からの、日常においては日々降りかかる苦境やストレスからの回復や立ち直りを支える力となります。

社会経済的背景が低いにもかかわらず良い成績をあげる生徒について、「レジリエントな生徒」という言い方で表現されました。これが、日本の教育界に「レジリエンス」という概念を知らしめたきっかけのひとつになったようです。

東日本大震災以後の災害復興の文脈で、「レジリエンス」という言葉が広く一般に用いられるようになりました。2019年に出版されたOECDの”Educating 21st Century Children (21世紀の子どもたちの教育)”の中で、レジリエンスは社会情動的スキルやデジタルリテラシーと同列に位置付けられ、21世紀を生き抜くために必要なスキルとして語られています。2020年頃からは、新型コロナウイルスによるパンデミックが子どもにストレスをもたらしているという文脈で、英語圏ではレジリエンスが取り上げられるニュースが多く見られるようになりました。

レジリエンスの育成が重要です。子どものウェルビーイングにレジリエンスが深く関連しています。レジリエンスが高いほど、子どものウェルビーイング得点が高くなっています。

日本では
①母親の応答的な養育態度、
②母親の子育て肯定感、
③園(保育者)のサポート、
④デジタルメディア使用時の母親のサポート、
⑤遊ぶことができる友達の数が、
子どものレジリエンスに関連していることが明らかになりました

①母親の応答的な養育態度の構成項目のうち、子どものレジリエンス育成に特に効果的な項目
温かく優しい声で話しかける
スキンシップをとる
子どもが求めることに応える
やりたがることに取り組める環境を用意する

③園(保育者)のサポートの構成項目のうち、子どものレジリエンス育成に特に効果的な項目
保育者/先生は子どものことを気にかけてくれている
子育てについて相談できる保育者/先生がいる

④デジタルメディア使用時の母親のサポートの構成項目のうち、子どものレジリエンス育成に特に効果的な項目
子どもが使用・視聴している様子を気にかける
子どもが難しいことに取り組めるよう支援する
使用・視聴時間を決めるよう声をかける
子どもが使用・視聴するものを親が選ぶ

親子の間で一定のルールを設けることが普段から子どもの適応力を高め、子どものレジリエンスの向上につながる
保育者が一人ひとりの子どもの様子に目を配ることだけでなく、保護者の悩みに寄り添うことの重要性も浮かび上がりました。園(保育者)がサポートすることで保護者は安心して子どもに接することができ、このことが子どものレジリエンスの向上につながる

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精神学の分野でも、少し長いが、ストレス脆弱性レジリエンスモデルと表現したらよいと思う。
外因としてのストレス。内因としての脆弱性。そして病態に対して作用する内的な回復力と分けて考える。

骨折で言えば、外傷の強烈さ。骨の強さ。骨折を修復して再度骨を結合させる内的な働き。
骨折の治癒は、炎症期・修復期・リモデリング期という3つの段階で進み、それぞれが、重なりながら治る。 骨は常に新陳代謝を繰り返していて、折れた部位分にできた新しい骨はさらに長期に渡って作り変えられ、やがて、ほとんど元どおりに治る。

骨折の治癒過程について、疾患モデルとして勉強しておく。

第1段階【炎症期】 骨折直後から2~3週間
大きな外傷に基づく骨折部では炎症症状が現れ、また骨髄から出血して、血腫という種々の成長因子を含んだ凝血塊ができます。
やがて、炎症がおさまるとともに血種内の血小板などから出てくる成長因子が様々な細胞を増殖させます。

第2段階【修復期】 骨折して数日後から数週間
骨折部周辺の骨膜部位分にある骨膜細胞が骨芽細胞という新しい骨を作る細胞に変化して、新しく作った軟骨の鋳型を骨で置き換える様にして骨の形成を始め、骨の修復が始まります。

第3段階【リモデリング期】数週間~数カ月(場合によっては数年)
軟骨から骨に置き換わった脆弱で、変形・デコボコの見られる骨折部の骨が元々の骨に近い形の強い骨に変化していきます。
もう一度、形を作る(リモデリング)第3段階は年余にわたって続きます。

(つづく)

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